VRセンター当日、車にリリーを乗せて向かう。
脳腫瘍やったら嫌やなぁ…ヘルニアちゃうのかなぁ?など、完全な素人探偵は、悪魔の正体を知らされるまで呑気に構えていた。
待合室から呼ばれて部屋に入ると神経科の担当者の先生がリリーの触診と説明。
かっけ調べるやつで身体中トントントントン日野の2トン…とリリーの神経の反応を調べていた。
私は自信満々にヘルニアじゃないの?と聞いてみたが、即答で否定された。
まさかホンマに脳腫瘍?
しかし先生の見解は脳ではない。
めちゃくちゃホッとした。
思い当たる症状に犬種独特のものがあるけど、これにイタグレが該当しない。
この子には病名が付けられないかも知れない。
と、はっきり言われた。
前回の発言がフラッシュバックする。
なんでやねん!高度な二次医療で名医揃ってるんちゃうんかい!リリーが痛がってる時点で何かあるやんけ!
と、思ったが言わない。大人だから…
今回、脳と脊髄までをしっかり調べます!
足の関節は映らないので見れませんが、徹底的に調べます!
MRIで怪しかったらCTを撮ります!
更に疑うなら隋脳検査もします!
この時には先生、多分、脊髄になにかあると確信してたと思う。
リリーを預けてお昼に行ってきた。
約束の時間にお昼から戻るも30分以上経っても呼ばれない。
しばらくしたら担当医が「今、CTを撮ってますので、もう少しお待ちください」と。
あぁ、MRIからCTって事は、あんまり良くないかもな…と、若干の不安がよぎる。
そうこうするうちに呼ばれ診察室へ…
開口一番「原因がはっきりわかりました!脊髄腫瘍です!」
心の準備も無いまま飛び込んできた言葉でした。
だって、最後まで腫瘍は頭になかったんだから。
素人目でも分かるものを見せられて、自分の気づかないところで、こんなにも骨が蝕まれていたのか…なんで気付いてあげられなかったのか…
絶対!絶対痛いはずなのに、気丈に振る舞ってこんなになるまで我慢して!
いや、きっとリリーはサインを出してたんだよ!それを私は見ようとしなかったんだよ!
画像を見せて先生が淡々と説明するのだが、これが夢か現実か分からないくらい、その場の光景がボヤけて見えて、ただただ、リリーが可哀想という涙じゃなく、今まで気付いてあげられなくてごめん!ごめんリリー!ごめんなさい!
の気持ちだけが私の精神を埋め尽くした。
この腫瘍を病理検査に出すので、腫瘍の結果は1週間後。
全身麻酔でぐったりしたリリーを抱きしめて、ひたすら謝る事しか出来なかった。